アルコールと三つ子の魂
今日こんなニュースがあった。
とある職員が職場の懇親会で泥酔した状態でタクシーに乗り、タクシー料金約3000円を払わずに立ち去ろうとし、更には追いかけてきたタクシー運転手を蹴り倒したというのだ。
この行為に対しては何も擁護できる点は無いけど、
実はこの加害者の方は、自分から警察に出頭したそうだ。
「タクシーの料金を払わなかったかもしれないが、酔っていて覚えていない」
というようなことを言っていた。
ニュースを見る限り、
肩書きを見れば立場のある立派な方だったし、
本人のコメントを聞く限りでは誠実な人柄のように思えてならない。
酔いの状態というのは、自制心が低下した状態だそうだ。
脳の機能が麻痺してしまい、人間性が変わってしまう。
専門用語では脱抑制と言うらしいが、脳の抑止力が働かなくなる。
攻撃性を理性で抑え付けているような人であれば、
脱抑制によって攻撃的な性格の人間へと変化してしまう。
三つ子の魂百までと言うが、
人間外からの刺激に対して、
一番最初に感じることというのは
年をとってもそんなに変化しないのではないだろうか。
良い年になり、相応の振る舞いをしているような人であっても
根幹の部分では三つ子の魂が生きているのだと考えたら、
お酒の脱抑制効果によって
長い人生で培われた理性というタガが外れたとき、
そこにどんな三つ子の魂が宿っているかは分かったもんじゃない。
心の動きというのは一朝一夕の努力で変えられるものではないし、
三つ子の魂を宿していることが幼稚なことだとは思わない。
大人になるにつれ色々な物の見方ができるようになるだけで、
人間の本心というか自分自身みたいなところは変わらないものだと思う。
いい大人になって子供の振る舞いをするのは恥ずかしいことだが、
酒に酔えば酔うほど培ってきた大人の部分が少しずつ溶けていく。
普段はどんなに立派な人格者であっても
三つ子の魂のままに行動することが可能になってしまう。
酒は飲んでも飲まれるなというのは至言だと思う。
自分自身もお酒で失敗したことはあるし、そのことは思い出したくもない。
「三歳の自分が、自分の体で、何かをする」
お酒に飲まれるとは、きっとそういうことなのだ。
なんて恐ろしいことなんだろう。
何をするのか予測することすらできない。
今回の事件を起こしてしまった方も、酒に飲まれさえしなければ
絶対にこんな事件は起こさない人間だろう。
酔いから醒めて自分から出頭したくらいだし。
本当に怖いね。お酒は。
月並みだが、飲むときは飲み過ぎに気を付けよう。